運営事務所:行政書士オフィスプラス
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2019年10月1日より、ついに保育料の無償化が始まりました。
新たな制度の全てを把握することは容易ではなく、また、企業主導型保育事業特有のルールも設けられています。
無償化の対象となる児童の年齢等については保育施設の種類を問わず一律となりますが、金額や支給方法等は、認可保育園や認可外保育園、企業主導型保育事業等の施設種類によって異なるものもあります。
ここでは、保育園にかかる無償化の基本事項を説明していきたいと思います(2019年9月20日時点情報)。なお、今後内容の変更等の可能性があることについても示唆されていますのでご留意ください。
無償化の対象は、①施設の種類、②年齢、③世帯収入の3つの要素で構成されています。
また、無償化要件、上限額等が異なるため混乱しがちですので、施設の種類別に分類してみましょう。
(対象)
3~5歳は全額無償、0~2歳児は住民税非課税世帯が対象
(要件)
教育・保育給付認定(2号、3号)を受けていること(支給認定書※の交付)
※給付認定は、「保育の必要性」と「保育の必要量」を確認
(給付方法) 施設による法定代理受領
(対象)
3~5歳児(3.7万円上限)、住民税非課税世帯の0~2歳児(4.2万円上限)
(要件)
教育・保育給付認定(2号、3号)または施設等利用給付認定※(新2号、新3号)を受けていること。
※施設等利用給付認定は、「保育の必要性」のみ確認
無償化対象となる認可外保育所は、自治体による一定基準(認可外保育施設指導監督基準)を満たしていることの確認を必要とします。
(給付方法)
利用者への給付または施設の代理受領(自治体により異なる)
(対象)
3~5歳、住民税非課税世帯0~2歳児について利用者負担相当額※が無償化
※利用者負担相当額:0歳 37,100円、1~2歳 37,000円、3歳 26,600円、4歳~ 23,100円
(要件)
企業枠:従来通り事業者による保育必要性を確認、教育・保育給付認定不要
地域枠:教育・保育給付認定(2号、3号)を受けていること※(認定書の交付で確認)
※認定は無償化の要件であり、利用要件ではありません。保育の必要量の結果等で認定されなかった場合、無償化の対象にはなりませんが利用は可能です。
また、3歳児以上であっても地域枠児童については無償化対象とならないこともあります。
(給付方法)
これまで毎月の助成金額から控除されていた利用者負担相当額分が「施設利用料給付費」として交付される
企業枠・地域枠に関わらず、無償化の対象となる利用料(利用者負担相当額)は助成金(施設利用給付費)により事業者へ給付(支払)されるため、利用者から徴収する必要はありません。
ただし、無償化にあたり3~5歳児の副食費(4,500円)を利用者から徴収することになったため、当該年齢児童の利用者負担相当額が4,500円の減額となっています。
また、無償化対象となる不定期利用の児童については日割り計算で給付されます。
なお、企業主導型保育施設を利用する児童について、「企業主導型保育事業利用報告書」を自治体へ提出することになっています(後述)。
従業員枠、地域枠に関わらず、0~2歳児の非課税世帯については両保護者の住民税が非課税であることの確認が必要です。
自治体により発行する書類が異なる地域もあるようですが、一般的には「住民税非課税証明書」となります。
取得先は、直近の1月1日時点で利用者がお住まいの役所です。
※取得する時期が4月~8月の場合は前年度分を取得。9月~翌3月は本年度分を取得し住民税課税状況にて判断(本年度において非課税の場合は、9月~翌8月まで対象)。
なお、年度途中で非課税世帯ではなくなった場合(例:再婚等)は、非課税世帯でなくなった翌月より無償化の対象ではなくなります。
また、住民税非課税世帯の他、生活保護法上の被保護者、児童福祉法上の里親である場合も無償化の対象となります。
事業者は各証明書類(保護証明書、里親委託通知書等)にて確認します。
保育料の無償化にあたり、3~5歳児の副食費(おかず)が利用者負担となります。
副食費は原則4,500円です。
現行の規定では、3~5歳児について主食費(ごはん・パン)について利用者の負担(徴収が認められる)となっていましたが、2019年10月以降は主食費・副食費ともに利用者の負担となります。
これまで副食費込みで設定していた保育利用料から、副食費を差し引いた額が新たな保育料となります。同時に、3~5歳児の利用者負担相当額は副食費分が減額されることになります。
例:3歳児で利用者負担相当額が保育利用料の場合
・現行の保育利用料 31,100円
・副食費 4,500円
・新保育利用料 26,600円(31,100円-4,500円)
・無償化対象者の保育利用料 0円
なお、無償化の対象とならない児童(地域枠で認定を受けられない児童等)においても、副食費は別徴収しなければならないため、新たに保育料の設定が必要です。
また、0~2歳児の給食費は現行通り保育料に含むものとして扱われますが、3歳児以上児童同様、無償化対象の児童の保育料について利用者負担相当額を差し引いた金額を設定する必要があります。
児童の年齢や世帯所得、企業枠・地域枠の別により必要な書類や料金設定が異なることもあるため、利用者に誤解のないよう説明が求められます。
無償化の対象となる児童の有無に関わらず、保育施設事業者は保育施設の利用状況(利用者情報)について自治体へ報告を行います。
報告は次のとおりです。
①利用状況報告(2019年10月1日時点、各年4月1日時点の入所者情報)
②利用報告(2019年10月以降の入所者情報)
③利用終了報告(退所者情報)
①の利用状況報告は、各報告時点の利用者一覧を事業者が自治体へ報告するものです。
②、③は、2019年10月以降の入退所にかかる報告書であり、事業者は保護者より報告書を預かり、事業者経由で利用者の居住する自治体へ提出します。
複数の地域に居住する利用者がいる場合は、複数の自治体へ報告することになります。
自治体は各利用報告書類を元に利用者名簿を作成し、利用者の入所や退所を管理します。
なお、利用報告書等の提出時期は、入所する同月内、終了報告書は退所後1ヶ月以内の提出となりますが、小学校入学に伴う退所については利用終了報告は不要とされています。
無償化の対象となる児童は、施設等利用給付認定(認可保育所の認定)を受けた企業主導型保育施設の利用児童以外の児童です。
利用料金は保育施設が利用者から直接徴収し、後から利用者が市区町村へ請求し給付(施設等利用給付費)を受ける仕組みです。
このように、一時預かり等については自治体との関係が深く、利用者が給付を受けるためには、予め保育施設事業者が市町村へ必要な手続き(届出・確認申請等)を行い受理されていることが要件となります。
なお、原則無償化の対象となる企業主導型保育事業の一時預かりは「一般型」のみとされ、「余裕活用型」は対象外とされています。
また、利用者が市町村へ給付申請を行う際には、保育施設が発行した領収書および証明書が必要となります。
各種必要な手続きや様式は自治体により異なるため、管轄自治体窓口に確認しましょう。
今回導入される新たな給付制度は、利用者様だけでなく事業者様にとっても大きな影響をもたらす制度となります。
ただし、最もコアな利用者層である0~2歳以下の共働き世帯(課税世帯)は保育無償化の対象にはならない現状です。
新たな制度のため事務手続き等の混乱もあるかと思います。企業主導型保育事業特有の規定もありますので児童育成協会が発表する通知等に随時目を通し、しっかりと把握しましょう。
無償化には利用者・事業者ともに必要な手続きがあります。
各種手続きに漏れがないよう、制度を正しく理解し遅れのない対応が必要です。
当事務所では、保育所関連手続きをメインで取り扱っており、企業主導型保育事業については制度開始間もない頃から培ってきた豊富な経験があります。
また、現在進行形で全国の多数の企業様のサポートを行っているため、常に生きた最新の情報を入手しています。
企業主導型保育事業の運営にお悩みの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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